漫画とアニメを名指しして、東京都が性描写の規制を強める条例の改正案を議会に出した。
今年6月の議会で否決された案を手直しし、規制の対象を「法に触れる性行為や近親間の性行為を、不当に賛美し、誇張したもの」とした。
漫画家、法律家、日本ペンクラブなどが「行政の勝手な判断で取り締まれる余地が大きく、創作を萎縮させる」と今回も強く反対している。
都条例にはすでに「性的感情を刺激し、健全な成長を妨げるおそれがある本や雑誌を青少年に売ったり見せたりしない」規定がある。知事は、出版社などに必要な処置の勧告や、「不健全図書」の指定ができる。「わいせつ物」に該当すれば刑法の取り締まり対象だ。漫画は野放しではない。
それでも不十分というのが都の言い分だ。確かに眉をひそめたくなる漫画もあるし、子供の手の届く所に置くべきでないと考える人は多い。
しかし、そのためのルール作りと運用を、行政にゆだねることの是非は、切り離して考えなければならない。
基本的人権の中でも最も重要な一つとされる「表現の自由」とかかわる規制だ。まず、当事者の自主的な取り組みを尊重するのが筋だろう。
出版社や書店などの団体は、外部の有識者を加えた委員会を設け、青少年に不適切なものにマークを付け、書店で専用棚に置いたり、袋やテープで封じたりする自主規制をしている。
多様な意見を聞き、自らをより厳しく律する努力を続けてもらいたい。7歳も17歳も「青少年」でくくる現状の矛盾の解決のために、読者の年齢を考えた表示の検討なども進めてほしい。
意見が分かれる表現があっても、青少年に届けたい漫画はある。
竹宮恵子さんは「風と木の詩」で、少年同士の性愛や父子の性関係を描いた。出版社は苦情を恐れたが、少女たちに性の問題を伝えたいと考えたからだ。文化庁長官を務めた心理学者の河合隼雄さんは「思春期の少女の内的世界を表現し切った」と絶賛。いまも広く読まれている。しかし改正案を額面通りに受け取れば、ずばり規制の対象だ。10代の読者に届かない。
過去には、医学博士である手塚治虫さんが性教育の意味を込めた漫画が「悪書」扱いされたこともある。
都は「そういう作品は規制しない」という。だが、そのさじ加減が行政の判断ひとつというのは心配だ。「描くことへの規制ではない」ともいう。しかし、産業でもある漫画は、流通にかかる圧力が表現に跳ね返りやすい。
未来の手塚さんや竹宮さんが息苦しさに悩まされず、子供たちが優れた漫画に感動したり、考えたりする道を狭めないためには、公権力を介入させることに慎重でなければならない。
(以上、12/3付け朝日新聞 社説より引用)
朝日は過去にも同様の規制に対し、社説のネタにしていましたが*1、今回の件については『反対』を訴えています。
ただこれで朝日が明確に「規制反対!」であるのかとなれば疑問です。
まず、規制推進派の中心である日本ユニセフ協会に役員を送り込み(これは義理とか他メディアも人員を出してるから・・・といった側面があるためかも)、規制推進派の団体に資金援助し、さらに石原都知事は朝日新聞が嫌い(その逆も然り)ということで対立していることから反対している、なんてことも考えられますので、(もしかしたらどこかの有力者から「社説のネタにして世論を動かしてくれ」なんて言われている、なんてこともありうるかも・・・)単純には喜べません。
もし≪条例や法改正により、自らの報道活動に対して規制がかかる=表現・言論の自由の面から反対を訴える≫としたら手放しで評価したいところなのですが・・・。
さて、同様の批判を新潟日報(社説)、愛媛新聞(コラム)、熊本日日新聞(コラム)でも挙げていますが、今回の朝日社説を含めて規制の対象を『漫画・アニメ』をメインとしています。
しかし本来であれば、自ら(メディア)の『報道の自由』『言論の自由』と絡めて論じられるべきではないでしょうか。
また、相変わらず『漫画・アニメの性表現』を中心とした論評であることも気になります。
今回の改悪案については性表現だけでなく暴力・反社会・違法行為も含まれ、しかも違法であるかを決めるのは警察や都職員などの取り締まる側。
公正中立性が疑われる面々が公正中立でない法を運用した場合の結果については、公正中立とはいえない結果が待っているでしょう。
この問題について、メディアの『お勉強』を強く望みます。
◆追記
同じ『メディア』でも、ここは別のようで・・・。
www.worldtimes.co.jp/syasetu/sh101129.htm
もう初っ端から『都の条例改正の動きに対しては、左翼的な団体が過剰に反応』(社説より)としており、救いようがありません・・・って。母体は人々を救う宗教団体でしたっけ。
*1:09年6月29日、今年5月22日と25日。
●おまけ
最近の若者の言語力の低下を端的に示す事例として、新入社員や学生において、意見(感想)と事実を区別できない、説明者の意図を正確に理解できない、具体的な根拠を示して自分の意見を説明できないといったことの増加が指摘されている。
(概要より)
・・・そっくりそのまま、青少年条例の問題に当てはまります。
意見・感想と事実を区別できない
⇒規制強化による悪影響という事実を認めず、己や支持団体の口入れで決める推進派。
説明者の意図を正確に理解できない
⇒『理解した』からこそ案に反対している。むしろ【正確に理解できない】方が、都として都合がいいのでは?
具体的な根拠を示して
⇒根拠を示さず「○○が言うから/XXがやってるから規制」という。
『具体的な根拠』といえば『天下り先が増える』とか『実績になる』くらいか?
以下、上記の記事より引用↓
レストランやカフェの水に寄付を 取り組み、18日から
レストランやカフェで出される水に対して寄付する世界的なキャンペーン「TAP PROJECT」が18日から県内でも始まる。
横浜市西区のホテルで記者発表会がこのほど開かれ、日本の近代水道発祥の地・横浜市の林文子市長が「安全な水が飲めることへの感謝の気持ちを、寄付という形で国際貢献に結びつけてほしい」と訴えた。
日本青年会議所関東地区神奈川ブロック協議会主催で、日本ユニセフ協会、同市水道局など共催。「TAP」は英語で水道の蛇口を意味する。
参加する店は客に無料で水を提供する際、世界の水事情を解説したカードを配って寄付を募る。集まった募金は同協会を通じて、マダガスカルの水環境整備事業に使われる。
プロジェクトは国連児童基金(ユニセフ)の支援活動として2007年にニューヨークで始まった。
昨年は横浜青年会議所主催で横浜市内の店が参加する「TAP YOKOHAMA」として実施し、約450万円が集まった。
今年は県内の全21青年会議所による「TAP KANAGAWA」として県内全域に範囲を広げて開催する。
10月4日まで。県内の約600店舗が参加予定で、600万円を目標にしている。
名古屋の方で、このキャンペーンと主催団体である日本ユニセフを批判したところ、日本ユニセフから訴えられたなんて物騒な話*もありますので、批判については機会を改めて行いますが、問題は『TAP KANAGAWA』の担当ブログ。
おいおい、飲み食い話メインでないかい!?
これは『TAP KANAGAWA』運営スタッフのオフショットであり、お硬い印象のイベントとJCIという組織を柔かくみせようという位置づけなのでしょうが、肝心の『事業報告』がされておらず*1、これでは『俺の日記』的ブログと何ら変わりありません。
もちろん本体(HP)で報告をされていれば問題はないのですが、それもない有様。
(先日の記者会見&18日現在の募金額*2はさすがにPDFファイルを上げていますが)
また、こちらのブログについては日ユニでなく『TAP KANAGAWA』主催団体のひとつ(社)日本青年会議所(JCI)関東地区神奈川ブロック協議会の担当スタッフによるものですので、日ユニに対する批判はお門違いですが、ブログだけみれば『TAP KANAGAWA』『TAP PROJECT』自体の信頼性を疑う内容であるように思えます。
『募金』という浄銭を集めている以上、ある程度の真面目さと迅速な報告は必須です。
ましてや、一部では運営や人選、言動に批判を浴びている日本ユニセフが共催とあれば、なおさらです。
ブログはまだ数回の更新ですが、こんなところに募金しては、25%どころか全額『経費』*3に回されかねない印象が・・・。
・・・ま、どちらにしてもユニセフが絡んでいる時点で、私は信頼できんし賛同もしないし募金もしないだろうけど<TAPなんちゃら
*:『物騒な話』と書いて、言論封殺。
*1:少なくともマスメディアの報道の方が遥かに詳しいレベル。
*2:18日から開催なので『18日現在¥0』の表示(当たり前だが)。せめて募金が集まってから挙げれればいいものを。
*3:感のいい方でしたらお分かりでしょうが、日本ユニセフが集めた募金額から『経費』として差し引いてよい分の割合。(ここ数年は20%前後だが、募金額からすると莫大な金額といえる)
●10/5追記
☆『TAP KANAGAWA』ブログで紹介されたと考えられる仙台の牛タン店ですが、今現在プロジェクトには参加していない模様。
☆*2で指摘した件ですが、『募金総額はTAP KANAGAWA開催期間終了後、本ホームページにて発表させていただきます。』に変更されてました。