ムシのいいはなし〜『Culture First』といわれても〜
2008.01.20 Sunday | category:著作権問題
おはようございます。
昨年末に、ネット上のデータ(動画・音楽など)のダウンロードを実質違法化する
ために、法改正を行うことが進んだというニュースがありましたが、
権利者団体の集まりである『デジタル私的録画問題に関する権利者会議』が
ここぞとばかりに『Culture First〜はじめに文化ありき〜』という宣言をぶち上げて
きました。
●『INTERNET watch』記事より
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/15/18120.html
彼らの主張では、ヨーロッパであった同様の運動が、権利者への保証金制度をのこし、
著作権者の権利を護ったことから、日本でも同様のキャンペーンを行うということ
なのですが・・・。
この時ふと、過去にゲームメーカーが行った『NORESALE』キャンペーン*を
連想しました。
このキャンペーンでは、
「中古ソフトはクリエイターに利益が還元されない」
「このままでは新たなる創作活動に支障がでる」
という大義名分のもと、一部メーカーや団体側が積極的に活動していました*2。
このとき私は
「(キャンペーンにおいて)クリエイターが、クリエイターが〜とCESA等は言うが、
このキャンペーンにおいてクリエイターの顔がまるで見えない」
と批判していました。
今回の『Culture〜』では、各団体の代表だけでなく落語家や作曲家といった
有名クリエイター(?)からも、会見場で意見のビデオ放映がされたそうですが、
その本人たちが果たして権利者のいう『Culture〜』と一致しているのでしょうか。
数年前(04年春)、権利団体は音楽CDの輸入について規制を働きかけ、
彼らの望みは著作権法の改悪(彼らにとっては『改正』)によってかなえられました*3。
しかし、音楽CD市場の衰退は止まらず、ユーザーは高コストでの入手を余儀なく
されています*4。
また、今回のキャンペーンに限らずですが、権利者側は外部に対して不利となる
情報を隠しているようにみえます。
今回の会見では、最近普及しているMP3プレイヤーやハードディスクレコーダー、
次世代メディア(ブルーレイやHD-DVD)にも『私的録音録画補償金制度』に基づき
課金しろ、と主張していますが、公式なところ(権利者)からダウンロード(購入)する
のであれば、権利者が得るであろう権利金の二重取りになりかねません。
さらに、自作のコンテンツについても(結果として)保証金を払わなくては
ならなかったり、自作のコンテンツを自ら公に向けて使用するのに、
わざわざ許可を取り手数料を払わなくては・・・という問題もあります。
「中古は許諾制に」を訴えていながら「当社は中古を一切許可しない」としていた
メーカーがほとんどであった『NORESALE』もそうでしたが、
権利者側はウソをつくこと・論議に必要な情報を隠すことも権利のひとつ、
ととっているのでしょう。
また、今回のキャンペーンに参加している団体の中には、
「本当に著作権者のために役立っているのか?」と云われるところも含まれています。
最近の『VOCAROID』に代表されるように、権利者によっては「皆にみてほしい」
という方もいるかと思います。
権利者団体は『Culture First(文化第一)』を訴えながら、今回の会見・宣言では
こういった動きには何一つ触れられていません。
これでは
『Copyright First(著作権第一〜皮肉れば権利団体第一)』
であり、結局J@SRACのような集金団体が喜ぶだけ、
そう、一部の団体にだけの「ムシのいいはなし」といわざるをえません。
彼らの主張が次々と認められた近未来、既得権者には有難くても
傍(はた)からみれば
「何の面白みの無いニホンというトコロ」、
「既存のコンテンツのみで食いつないでいるニホン」
になっていることでしょう。
彼らのいう『文化』とは、私にとって実に窮屈かつ億劫(おっくう)なもののようです。
*:正しくは『無許諾中古売買撲滅キャンペーン』。当時メーカーとショップ間で
行われていた、中古ゲームソフトの売買をめぐる裁判と平行して、
メーカー団体CESAなどが98年初頭から裁判終結(メーカー側敗訴)の01年春まで
使われた。(もっとも、裁判に負けたので引っ込めたのだが)
*2:一方で「新品を売った時点で適正な利益を得ている」と距離をおいたメーカーや、
とりあえず「せっかくだから」と裁判に参加したメーカーも・・・
*3:本来は、海外で安く売られている邦楽CDの規制目当てだが、同時に海外で売られて
いる洋楽CDに対しても適用されるため、音楽ファンからの厳しい批判を受けた
*4:この頃から音楽CDに代わり、ネット(データ)配信の伸びがあったのだが、
権利者側はそのデータを伏せた上でキャンペーンを実施していた。
音楽業界において、CDとネット配信の担当は相当仲が悪いのだろうか?
昨年末に、ネット上のデータ(動画・音楽など)のダウンロードを実質違法化する
ために、法改正を行うことが進んだというニュースがありましたが、
権利者団体の集まりである『デジタル私的録画問題に関する権利者会議』が
ここぞとばかりに『Culture First〜はじめに文化ありき〜』という宣言をぶち上げて
きました。
●『INTERNET watch』記事より
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/15/18120.html
彼らの主張では、ヨーロッパであった同様の運動が、権利者への保証金制度をのこし、
著作権者の権利を護ったことから、日本でも同様のキャンペーンを行うということ
なのですが・・・。
この時ふと、過去にゲームメーカーが行った『NORESALE』キャンペーン*を
連想しました。
このキャンペーンでは、
「中古ソフトはクリエイターに利益が還元されない」
「このままでは新たなる創作活動に支障がでる」
という大義名分のもと、一部メーカーや団体側が積極的に活動していました*2。
このとき私は
「(キャンペーンにおいて)クリエイターが、クリエイターが〜とCESA等は言うが、
このキャンペーンにおいてクリエイターの顔がまるで見えない」
と批判していました。
今回の『Culture〜』では、各団体の代表だけでなく落語家や作曲家といった
有名クリエイター(?)からも、会見場で意見のビデオ放映がされたそうですが、
その本人たちが果たして権利者のいう『Culture〜』と一致しているのでしょうか。
数年前(04年春)、権利団体は音楽CDの輸入について規制を働きかけ、
彼らの望みは著作権法の改悪(彼らにとっては『改正』)によってかなえられました*3。
しかし、音楽CD市場の衰退は止まらず、ユーザーは高コストでの入手を余儀なく
されています*4。
また、今回のキャンペーンに限らずですが、権利者側は外部に対して不利となる
情報を隠しているようにみえます。
今回の会見では、最近普及しているMP3プレイヤーやハードディスクレコーダー、
次世代メディア(ブルーレイやHD-DVD)にも『私的録音録画補償金制度』に基づき
課金しろ、と主張していますが、公式なところ(権利者)からダウンロード(購入)する
のであれば、権利者が得るであろう権利金の二重取りになりかねません。
さらに、自作のコンテンツについても(結果として)保証金を払わなくては
ならなかったり、自作のコンテンツを自ら公に向けて使用するのに、
わざわざ許可を取り手数料を払わなくては・・・という問題もあります。
「中古は許諾制に」を訴えていながら「当社は中古を一切許可しない」としていた
メーカーがほとんどであった『NORESALE』もそうでしたが、
権利者側はウソをつくこと・論議に必要な情報を隠すことも権利のひとつ、
ととっているのでしょう。
また、今回のキャンペーンに参加している団体の中には、
「本当に著作権者のために役立っているのか?」と云われるところも含まれています。
最近の『VOCAROID』に代表されるように、権利者によっては「皆にみてほしい」
という方もいるかと思います。
権利者団体は『Culture First(文化第一)』を訴えながら、今回の会見・宣言では
こういった動きには何一つ触れられていません。
これでは
『Copyright First(著作権第一〜皮肉れば権利団体第一)』
であり、結局J@SRACのような集金団体が喜ぶだけ、
そう、一部の団体にだけの「ムシのいいはなし」といわざるをえません。
彼らの主張が次々と認められた近未来、既得権者には有難くても
傍(はた)からみれば
「何の面白みの無いニホンというトコロ」、
「既存のコンテンツのみで食いつないでいるニホン」
になっていることでしょう。
彼らのいう『文化』とは、私にとって実に窮屈かつ億劫(おっくう)なもののようです。
*:正しくは『無許諾中古売買撲滅キャンペーン』。当時メーカーとショップ間で
行われていた、中古ゲームソフトの売買をめぐる裁判と平行して、
メーカー団体CESAなどが98年初頭から裁判終結(メーカー側敗訴)の01年春まで
使われた。(もっとも、裁判に負けたので引っ込めたのだが)
*2:一方で「新品を売った時点で適正な利益を得ている」と距離をおいたメーカーや、
とりあえず「せっかくだから」と裁判に参加したメーカーも・・・
*3:本来は、海外で安く売られている邦楽CDの規制目当てだが、同時に海外で売られて
いる洋楽CDに対しても適用されるため、音楽ファンからの厳しい批判を受けた
*4:この頃から音楽CDに代わり、ネット(データ)配信の伸びがあったのだが、
権利者側はそのデータを伏せた上でキャンペーンを実施していた。
音楽業界において、CDとネット配信の担当は相当仲が悪いのだろうか?
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